最高裁判所第二小法廷 昭和25(れ)731 判決
主 文
本件各上告を棄却する。
理 由
被告人Aの弁護人島田武夫、同島田徳郎の上告趣意第一点について。
しかし原判決挙示の証拠を綜合すれば被告人等が本件犯行を共謀した事実を認定
し得るのであるから原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。
同第二点について。
しかし被告人等は本件犯行を共謀したのであるから、たとえ被告人Aは何人にも
暴行を加えなかつたとしても他の被告人の暴行について共犯者としてその責任を免
れないのである。そして被告人のうちの何人が被害者の何人に対して如何なる傷害
を与えたかを一々具体的に判示することを要するものではないから原判決には所論
のような違法なく論旨は理由がない。
被告人Bの弁護人吉田正之の上告趣意について。
しかし原判決挙示の証拠を綜合すれば原判示の事実を認定し得るのであつて、そ
の証拠判断及び事実認定に実験則違反の点は認められない。所論は原審の専権に属
する証拠の取捨判断及び事実の認定を非難するに帰し上告適法の理由とならない。
被告人Bの弁護人平岡孝輔の上告趣意について。
論旨の理由のないことは弁護人吉田正之の上告趣意に対する説明のとおりである。
被告人A、同C、同D、同E、同F、同Gの弁護人花本福次郎の上告趣意第一点
について。
論旨は原判決に「互に意思を通じ」とあるが如何なる意思を通じたのか具体的の
説明なく従つて共謀の具体的内容が明瞭でないというのであるがその共謀は本件犯
行についての共謀であることは判文の前後により極めて明白である。また被告人等
は本件犯行を共謀したのであるから他の共犯者のした暴行についてその責任を免れ
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ないのであつて共謀者各人の分担行為について逐一判示することを要するものでは
ない。それゆえ被告人C、H、E、F、G等五名が実行行為に加担した点について
判示してないからといつて原判決を違法ということはできない。論旨は採用できな
い。
同第二点及び第一七点について。
しかし原判決挙示の証拠を綜合すれば被告人等が本件犯行を共謀した事実及び被
告人C等五名が本件現場に行つた事実を認定し得るのである。そして所論日本刀等
の所持及び判示暴行の点については他の被告人においてその事実があれば(本件に
おいてはその事実が確定されている)たとえC等五名にその事実がなくてもその責
任は免れないのであるから論旨はいずれも採用できない。
同第三点について。
前点において説明したように原判決は被告人等が本件犯行を共謀した事実を認定
判示しているのであるから判決理由として充分であつて所論の点につき一々具体的
判示を必要としない。論旨は採用できない。
同第四点について。
しかし原審第二回公判調書によれば裁判長は第一審公判調書中証拠調の部記載の
各書類について証拠調をした旨の記載がある。そして右第一審公判調書中証拠調の
部記載の書類中には第一審第二回公判調書に記載せられた書類に限らず同第四回公
判調書記載のI作成の鑑定書をも含むものと解すべきであるから原判決には所論の
ように証拠調をしない鑑定書を証拠に供した違法はない。
同第五点、同第六点、同第七点、同第八点、同第九点、同第一一点、同第一三点、
同第一四点及び同一八点について。
しかし原判決挙示の証拠を綜合すれば原判示の事実を認定できるのであるから所
論は結局原審がその職権の範囲内において適法にした証拠の取捨判断及び事実の認
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定を非難するに帰し上告適法の理由とならない。
同第一〇点について。
援用する他の上告趣意もすべて理由がないから論旨は理由がない。
同第一二点について。
しかし所論の事実は所論の供述記載及び本件記録中のCにする検察事務官の聴取
書(記録三〇七丁裏)におけるAは同人の妻君が私方と親密にしていた関係もあり
又私方の興行を二三回やつてもらつたこともあるので良く知つております旨の供述
によりて十分認定できるのであるから論旨は理由がない。
同第一五点について。
原判決挙示の証拠を綜合すれば被告人等が本件犯行を共謀した事を認定し得るの
であつてその共謀の日時場所を明示することは必要でないから論旨は理由がない。
同第一六点について。
しかし原判決挙示の証拠を綜合すれば原判示の事実を認定し得るのである。そし
て所論の原判示は被告人Aが勝負決行を中止したというのではなく、中止の申出を
容れ解決を図ろうとしたという本件犯行に至るまでの経過的事実を判示したもので
何等理由に齟齬はないから論旨は理由がない。
被告人C、同F、同G、同H、同Eの弁護人鍛治利一の上告趣意第一点について。
論旨の理由がないことは弁護人花本福次郎の上告趣意第四点に対する説明のとお
りである。
同第二点について。
論旨の理由がないことは弁護人花本福次郎の上告趣旨第二点につき説明したとお
りである。
同第三点について。
しかし原判決挙示の証拠を綜合すれば原判示の事実を認定し得るのであるから所
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論は結局原審の専権に属する証拠の取捨判断及び事実の認定を非難するに帰着し上
告適法の理由とならない。
よつて、刑訴施行法二条、旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
右は全裁判官一致の意見である。
検察官 田中已代治関与
昭和二五年一二月八日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
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